催眠商法をしていた元カレの話

わたしはあの頃、浦島太郎にでてくる亀みたいだった。

はじめからお局ふたりから嫌われ、

見た目アホそうなわたしが資格を取ったら わたしへのいじめが更に加速した。

合間合間でわたし以上に気に食わない人たちがはいってくると、わたしを庇いながらターゲットに攻撃する。

要はわたしを利用して その都度ターゲットを攻撃した。その人らが辞めるとまたわたしにターゲットがまわってくる。それも分かりきっていた。だから信用できなかったし、あのブスな田舎者のデブババアたちの金魚のフンにも徹することができなかった。

 

結果わたしは辞めたわけさ。

こんな安時給で なんでこんな頭がわるいクソババアたちにいびられなきゃいけないのかと馬鹿らしくなった。もう、心底ね。

資格も一人前になったし、こんな肥溜めにいる必要がないし。

 

当時 中途社員として来た資格ないおじんが わたしをかばってくれた。

あの人が朝礼してる時に、光が差す感覚を覚えて 好きになった。

おじんもわたしと同じ年度に資格を取って、

120点中112点を取ったわたしに、頭いいんだね、って褒めてくれた。

あなたもわたしも いつまでもここにはいないとは思うけれど

と 言っていた。

事実そうなった。

わたしもあの人も あの会社には もうとっくにいない。

 

おじんがわたしをかばえばかばうで いじめが加速した。

おじんが異動するタイミングで連絡先を交換して ご飯へ行った。桜がちょうど咲いている時期だった。

おじんは妻とは仲が悪いと初めから言っていて、空港近くのレオパを借りていた。

そこで不倫関係になった。

レオパのロフトの布団には 血がついた。子供2人生んでるのに 処女かなと冗談こいた。はじめてのときすらこんな血が出なかったのにさ

 

でも 初恋みたいな気持ちになっていた。

ベボベの「初恋」を 会いに行く時には何度でも聴いた。

ベボベのボーカルさんは わたしと同郷らしいのは後から知った。

初恋に 余計に入り込んだ。

 

寝息たてる住宅街を抜けて
君にすこし会いに、急いだ
都会の夜空もがんばってくれてる
胸に10代の自分が取り憑いてしまったみたいだ

「君がいない=ひとりぼっち」なんてさ
嫌ってほど孤独を飲み干した僕なのに
はじまってしまってるんだ

いま、君に恋した
僕が見てる世界は今日も 君色20,000色で
夏祭りのような 刹那さじゃない
明日の君に憧れつづけているから

 

星がふてくされようが、知らない
星を見てる君が見たいだけ
長く長く続いた夜も
君と過ごせば いつも足りなすぎて困るよ

 

君薫る風に、
君だけの足音に、
君がいる季節に、
忙しさすべて忘れて
僕はもうはじまってしまう

 

初恋のようさ
僕が見てる世界は今日も 君色小説で
クリスマスツリーのような ごまかしもいらない
この想いを何より輝かせたいよ

 

僕の想像力なんて、君は
水たまりをよけるように
飛び越えてしまう

 

初恋のようさ
僕が見てる世界は今日も 君色20,000色で
夏祭りのような 刹那さじゃない
明日の君に憧れつづけていくから

 

何回も恋した 同じくらいのさよならもした だけど、僕は
いま、君が好きだ
初めてじゃないこの恋を 終わらない最初の恋にしよう

最後の恋にしよう
 
 

 

.......

 

家庭もうまくいかず

逃げ道が欲しかった。

親としてどう振る舞えばいいのかもわからず

ただ子供を毎日抱きしめるしかなかった。

抱きしめる度に、抱きしめられている温かさに気付いたのは だいぶ後からだった。

 

 

当時から引っかかっていたのだけど、

おじんは、知り合った職場の前は いわゆる

催眠商法

を 長年やっていたらしかった。

 

会社名をググると 注意喚起が当時よりもたくさん出てくる。

当時も気になってググりまくっていたし 人からも話をきいていた。

数年経った今は、当時以上にはっきりとした注意喚起がでてくる。

 

年寄りの憩いの場所になっていたんだろうか。

わたしも若くなくなってきて、さみしさから、そういう場所に安らぎとか生き甲斐を感じる気持ちもわかりはじめたからこそ ぞっとする。

 

わたし不倫してたあのおじん、詐欺師じゃんか。

 

ちょいちょい見るんだよな。

おじんからきいていた会社が短期間オープンして、いつのまにか撤退していて、別の会社が入るのを。

 

あんなのに支えられていたわたしもやばかった

 

あいついまだに離婚してないんだろうしw

 

うっすらとは疑問に思ってはいた。

わたしも体を売っていた時期はあったから。

生きるために。

 

生きる為の手段だからやっていた事なのかとか噂とか無視して

目の前のその人を信じたらいいんだと 思い直したりもした。

だからあの人が心筋梗塞になった時に 思ったんだ。

 

 

終わりの頃

「付き合い始めた頃から俺を好きって言っていた人がいて

俺は好きな人ができたからって断っていた。

それがちょうどあなたと育った環境も近い あなたと同い年の人で

先日関係を持った」

 

とかほざいていた。

人間として嫌いになったし、

この歳まで既婚おじさんを待って、しかもそいつは彼女がいて、

どんだけもてない女を相手にしてるのかと思った。

それも見栄で言っているだろうし、そんな女、そもそも存在しないんじゃないかと疑った時には とっくの昔に好きでも何でもなくなったんだろう。

 

たしかに支えられてはいた。

息子達も手放して 離婚した頃。

だからこそ離れがたかった。

 

 

 

とはいえ、今もわからない。

力ずくでわたしと一緒にいるようになった 旦那との未来。

 

3月以来喧嘩はないが。

 

ぬくもりが好きだ。

かわいいところが好きだ。

 

 

ただ、やっぱり本当にわからない。

 

よくわからない

言いようのない不安でいっぱいになるんさ。

理由ははっきりわからない。

 

 

本当はわかっているはずなのに