時は矢のように飛んでゆく

客が殺伐としてマスクや紙を取り合って。

静かな時間にそれらを売り場に出した途端、どっからともなく家族総動員で買い物にくる 今まで見かけたこともない客に恐怖した。

まるで小さい頃 公園で遊んでいる時 誤って落とした飴に集ってくる蟻みたいだと思った。

毎日同じ質問をされてうんざりして、目の前の客を心のなかで射殺したり、たまに嫌なことをいわれて脳内でボコしたり。

仕事柄どうしても そうして外へ出なければならない中 仕事がある事は幸せだとも感じながらの お互いマスクつけたまんま知り合って再婚した不思議。

 

あれから3年経つらしい。

世の中がマスクを外す流れになってきて、イベントも おそらく以前みたいに開催されるようになっている。

あっという間だった気もする。

 

毎日似たような質問をされたり、たまに嫌なことをいわれたり。

それは今もおんなじで すごく嫌になる。

普段はこないくせして、安売りしたらこぞって集まってくる。来て欲しいから会社は安売りするわけで、当たり前っちゃ当たり前なのに、うんざりする。

安いものしか買わない人たちばかり。ほんとにそれ必要なの?値引きシール貼ってあるから買ってるだけじゃないの?

意味わからない暴言を吐いてくるあたおか。気に食わないとすぐに本社クレームを入れたりGoogleの口コミへ投稿するカスハラ。口コミの投稿主の他の口コミを見ると 上げたり下げたり激しすぎる。その中に精神科の病院もあり、納得。

なんでこんな人たちばかりなんだ、お金がないから気持ちも余裕がないんだな、普段虐げられている立場の奴らがサンドバッグにしてきてるんだろうな、だって立場のある人が変なことしたら炎上するからそんなバカなことしないし、と勝手に納得して 見下している自分もきっと病んでいる。仕事辞めた方がいいんだろうな。お金のためだから仕方ない。って、いつから思い始めたんだろう。

元々は そういう店で買い物するのが好きで 働きたくて資格を取ったのだけど…

それがたまたま 育児ばかりして正社したこともなかった 離婚後の自分を助けてくれることになったのだけど…

夢を与えながらお金をもらっている人達の姿を先日間近で見て、余韻と興奮に浸りながら、わたしって一体なんなんだろうと余計に落ちた。

そんな素敵な物事に対しても 熱心なアンチはいる現実。

自分が法律と思い込んだやつらからいきなり撃たれる散弾銃や 見えない安全な場所から放たれる卑怯なミサイルなんて 気にしなくていいはずなのに。

みんなどうやって乗り越えているんだろう。

今の夢は メンタルマッチョウーマンになる事。

 

普段は思わないのに、はたちの頃に聴いていた曲を聴きたくなって 通勤中流しながら運転していたら、込み上げてくるものがあった。

あの頃は運転免許を持っていなくて、同い年の友達の車に乗せてもらって海とか行ったりしたっけな。県内イチの大学に通う彼と違い 資格も学歴もない、ただ若いだけの自分はどういう未来に向かっているのか不安だったから、たまに上から目線で 正しすぎることを言われると 嫌いになりそうだった。

お互い結婚して、相手も意外と早いうちに結婚して。

離婚後に電話番号を変え ラインも引き継ぎをしなかったタイミングで 彼の連絡先もわからなくなってしまった。

元気かな。

それらすべてがなんでか、なんだか、つい昨日の事みたいに思えてくる。なんて、ありふれた表現しか出てこない 感受性も語彙量も貧しいわたしをあの頃のわたしが知ったら、なんて思うんだろうな。30歳まで生きてるなんて思わなかったからなぁ。なんて、当時のわたしだって 若いときによくある考えに支配されてたんじゃんか。

 

割と最近、ずっと心細く仕事をしている。

生理も早かったし、直近でいえば数ヶ月生理が来ないとかがあって、更年期でもおかしくないのかしらん、なんてよぎるのだが、起きていないことに対して怯えて、理由がよくわからない 言いようのない不安を抱いているのは 若いときからずっとそうだったのでよくわからない。

当時 思い切って両親に相談したとき、心配性すぎると 相手にされなかったのがきっかけで 人へ相談することや 本音を伝えることを避け始めた。

それでも自力で立たなきゃいけないし、しょうもない姉と比較して 自分は強い人間で しっかりしなきゃいけないと本気で思っていた。 逃げ場所がなくなった結果病んでしまい 高校を辞めたんだけど。病むって表現はバカの一つ覚えみたいで、しかも言葉がブームして大嫌いだったのに、今は別になんにも思わないから 病んでいたとしか思えない。

自分はよわよわだし、正社無理だし責任とか嫌だなーと、いつものように従業員さんから呼ばれていくと、全国旅行支援のクーポンを使おうとしている人がいる。この店に異動してから 会うのは3度目になる。

わたしがいるのをわかってて、なぜここにわざわざくるんだろう。意味も特にないのだろうけど 店の選択肢はたくさんある地域で、なんでだろうねと 友人も疑問に思っていた。

 

マスクしない人が増えてきたのは、個人的には嫌な気持ちにはなる。でも自由だから 批判するようなことではないとは思っている。

にしても、この人ってそういう人だったんだなぁと どんどん生理的に受け付けなくなってくる。ブスなおじさんだし。

従業員さんに対して横柄な態度だったのも併せて減点が加速する。

元々こういう人だったんだろうか。数年経ってるし、人は変わるものか。

もう来ねえだろうなというタイミングで出現するのは、わたしへの嫌がらせか。

無関心になられるより嫌われたいんだろうか。まじMなんだかSなんだかキモいのだが。なんでなんで病。こんな人のことを考える脳の容量が無駄なのではないのか。

あれだけ好きだった人が 生きていようがどうでもいい他人になる日が来るなんて 考えもしなかったなぁ。

 

母方のひいじいちゃんが

光陰矢の如し

と残して亡くなったと 小学生の頃にきいた。

白黒の写真でしか会ったことがないひいじいちゃんの気持ちが、ちょっとだけ分かってきたような気がする。